夫婦関係で怒りの問題に直面した時


心理カウンセラーの相賀ゆかです。今回は、私が一番多く扱っているケースの中の一つ、人間関係、特に夫婦関係で怒りの問題に直面した時の対処法の一つをご紹介したいと思います。


いつもカウンセリングセッションでもお話しているのですが、「怒り」自体は悪いものではなく、怒りによって、自分がこうしたいんだな、これがいやなんだな、というシグナルを与えてくれる大切な感情です。ただ、その感情の表現の仕方をとても慎重にしないと、誰かを傷つけ、自分を傷つけ、モノを傷つけ、大切な人間関係を傷つけるということになってしまいます。


多くの夫婦関係の中で、この怒りの問題は、二人の関係に対して最も影響が大きいものだと感じます。つまり、その人が怒りを健全で建設的に取り扱うことが出来たら、夫婦関係、それだけにとどまらず、親子関係、友人関係、同僚との関係など、すべての人間関係をより良くすることも可能かもしれません。また、その人間関係自体が良くならなかったとしても、その方の心の中のモヤモヤは消したり、平和的で落ち着いた気持ちで周りの人と接することが出来たりするために大きな助けとなることなので、日々自分自身でも研究を続けつつ、どのようにクライアントさんにご紹介すればよいか、考えています。



カウンセリング療法の中で代表的な一つである認知行動療法のセルフヘルフブックを多く執筆しているデビッド D.バーンズの著書「もういちど自分らしさに出会うための10日間ー自尊感情をとりもどすためのプログラム」の中に(p78)健全で建設的な怒りの特徴と、不健全で破壊的な怒りの特徴の表があるのですが、これは自分が「どのように怒りを表わしているのか」の気づきを与えてくれるきっかけになれば、と思い、シェアさせていただきます。




健全で建設的な怒りの特徴
不健全で破壊的な怒りの特徴
1.あなたは感情を適切な方法で表現します。
1.あなたは自分の感情を否定し、ふくれっつらをしたり(消極的攻撃性)、相手にくってかかったり手を出したりします(積極的攻撃性)。
2.あなたは、たとえそれに不賛成であっても、相手の視点から物事を見ようとします。2.あなたは自分を守ろうとする態度で議論に臨み、相手の意見に妥当性はないと言い張ります。
3.あなたは相手に強い怒りを感じていたとしても、相手への尊敬の念を伝えようとします。
3.あなたは相手が軽蔑すべき人物で、罰に値すると信じています。あなたは恩着せがましく失礼な態度をとります。
4.あなたは何か建設的なことをすることによって、問題解決に努めます。
4.あなたは諦めてしまい、自分を無力な犠牲者とみなします。
5.あなたはその状況から何かを学び、将来は同じ過ちを繰り返さないよう努めます。
5.あなたは何も新たに学びません。その状況に対する自分の見方は絶対に妥当であると感じています。
6.あなたは最終的に怒りを忘れ、再び幸せな気分を取り戻します。
6.あなたの怒りは常習的になり、忘れることができなくなります。
7.あなたは自分の行動を点検して、それが問題の原因にどのように関わったかを調べます。
7.あなたは相手を責め、自分を無実の犠牲者とみなします。
8.あなたは、自分も相手も、理解に値する妥当な考えと感情をもっていると考えます。
8.あなたは自分がすべてにおいて正しく、相手はすべてにおいて間違っていると主張します。あなたは、真実と正義は自分の側にあると考えます。
9.あなたは相手への関与を徐々に深めて行きます。あなたの目標は、相手に対する親近感を得ることです。
9.あなたは相手を避けたり、拒絶したりします。あなたは相手を見限ります。
10.あなたは、自分にも相手にも有利な解決を提案します。 10.あなたは相手と戦い、あるいは競争していると感じます。どちらかが勝てば、どちらかは負けることになります。


  「もういちど自分らしさに出会うための10日間ー自尊感情をとりもどすためのプログラム」(デビッド D.バーンズ著)

 なかなか自分が怒っていることに気づきにくいものですが、表の右のような考えがあるとすると、不健全で破壊的な怒りのループにはまっているかもしれません。ぜひ参考にしてみてくださいね。





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