2018年7月26日木曜日

大切な人と寄り添い、一緒に歩んでいく



こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。

 シェル・シルバースタインの「ビッグ・オーとの出会い」という絵本があります。
 

ひとりぼっちのかけらは、自分とパズルのように合体させると完全な円を作れるような相手が、自分をどこかに連れて行ってくれるのをずっと待っていました。しかし、なかなかいい出会いはありません。ぴったり合うけれど、角ばっていて前に進むことができないもの。逆に、前に転がることは出来るけれどぴったり合わないもの。こわれやすいもの。かけらを置き去りにして行ってしまうもの。たくさんのかけらをかかえこんでしまっているもの・・・ かけらは、もっと自分を魅力的にみせようと花を飾ると、花だけ持っていかれてしまうし、ネオンをつけてみると、かえって相手をおびえさせてしまいました。


ついにかけらは、自分とちょうどぴったりあう相手と出会い、楽しいひとときを過ごします。しかし時間が経つにつれ、自分だけがどんどん大きく成長してしまい、相手は離れてしまいます。かけらは相手探しに疲れて、落ち込んでしまいました。


そんな時、かけらは、今までに会ったどの相手とも様子が違うビッグ・オーに出会います。彼はかけらに対して、何も求めず、何も取ろうとはしません。ビッグ・オーは、かけているところがないので、合体して一緒に転がって前に進むことも出来ません。「君一人で転がることがきっと出来るよ。試してみたの?」と言い、ビッグ・オーは去って行きました。


またひとりぼっちになってしまったかけらは、自分自身で転がろうと決心します。最初は、ぎこちなくゆっくりと、カタンコトン。そのうち少しずつ角が取れて、小さい円になりました。コロコロ転がっていくうちに、どんどん一人で進めるようになりました。そしてとうとう、前に進んでいたビッグ・オーに追いついて、二人で仲良く転がっていくところで物語は終わります。


依存しあったり、自分で限界を決めてしまい、何もせずにただ待っていると、状況は変わりません。前に進みたければ、勇気をもって、能動的に自分の力でやっていこうとすることが必要です。たとえ最初は器用に出来なくても、自分を信じて一歩一歩踏み出すことによって、相手任せの人生ではなく、精神的に自立をしながらも、大切な人と寄り添い、一緒に歩んでいく生き方ができることを、このお話は教えてくれています。

2018年7月19日木曜日

涙を流して元気になろう



こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。
 
 涙を流すという行為は、心にとって大切なことです。悲しい、嬉しい、くやしい気持ちなどの感情が溢れ出たとき、人は涙を流します。泣くことはどこか恥ずかしいもの、といった考えや、特に男性は「男子たるもの、人前で涙をみせてはいけない」と育てられ、泣くことをがまんすることが当たり前になっている方が多いかもしれません。しかし、涙を流すということは、実はたくさんの癒し効果があるのです。


 まず、涙を流すことでストレスを解消し、リラックス効果があると言われています。泣くという行為によって、緊張を高める交感神経が優位な状態から、リラックスしたり心を静めることを促進させる副交感神経が優位な状況にかわり、心があらわれたような気持ちになります。


 泣いた後には、痛みを和らげる効果もあるエンドルフィンという脳内の物質が増加し、悲しみや痛みを和らげ、気持ちを落ち着かせてくれる効果もあります。また、泣くと人の感情に影響を与えるセロトニンの活性化につながり、号泣した後には特に効果が高く、やる気を出したり、感情を安定させるとも言われています。確かに泣いた後はすっきりして、今日からまた頑張ろうという前向きな気持ちになりますよね。


 カウンセリング中でも、心の奥から感情が涙として湧き出すことで、心が晴れ、爽やかな気分になり、深い癒しを体験されている姿を多くみます。今まで、泣くことを我慢していた方は、泣きたい状況の中でもなかなか涙が出てこないかもしれません。どうか安心し、信頼できる人々の前で始めてみましょう。涙を流し、悲しみを十分に感じてください。そして涙で心の痛みを洗い流して、また新たな気持ちで人生を前に進んでいきましょう。

2018年7月12日木曜日

愛するということ

こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。


 カップルのためのカウンセリングをしていると「相手のいやなところばかり目についてしまい、もう愛する気持ちがなくなった」という言葉をよく耳にします。多くの研究によると、ロマンティックな感情が続くのは18か月からせいぜい3年。つまり、愛情が冷めてしまった状況は、むしろ自然だといえます。しかし、そうなってからはどのように関係を続けていったらよいのでしょうか。



自然と恋愛感情が湧き出てくるのを待つのではなく、能動的にお互いが愛のある行動することによって、次の円熟した関係のステージに上手に移行させているカップルもたくさんいます。愛とは技術である、と意識することをはじめてみるのもよいかもしれません。つまり、スポーツや学習の様に、練習を重ねるイメージで、意識的に愛情を表現していくのです。自分が意識して始めていくと、相手のそういった行動にも気づきやすくなるでしょう。



ベストセラー作家スティーブン・コヴィーは、「愛情を感じない時、どうやって愛すればいいんですか」という男性の問いに対し、「愛は動詞である。愛という気持ちは、愛という行動の結果にすぎない。だから奥さんを愛しなさい。奥さんに奉仕をしなさい。彼女の話を聴いてあげなさい。感情を理解してあげなさい。感謝を表しなさい。奥さんを肯定しなさい。そうしてみては、いかがですか。」と答えました。



自分が無理をせず、パートナーのために出来ることからはじめてみませんか。相手を気づかい、成長を気にかけ、ゆっくり話を聞いてあげたり、一番よいタイミングを見計らってお茶をいれてあげたり――愛を行動にうつすというのは、こんなささいなことの積み重ねなのかもしれません。

2018年7月5日木曜日

言いたいことを上手く伝えよう


こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。

 相手と意見が違う時、頼まれたことを断りたい時、いやなことをやめて欲しい時、あなたはどのようにその思いを伝えていますか。 

言葉に出来ずに我慢することが続くと、いつも欲求不満の状態が続き、疲れ果てて無気力になったり、心の中で抑えていた感情が爆発してしまったりします。逆に相手の言いたいことや気持ちを無視して自分の言い分ばかりを言い続けていると、人間関係がぎこちなくなってしまいます。

相手の気持ちを配慮しながらも、あなたの主張を上手に伝えましょう。


1.自分の感情を観察し表現してみましょう。 

人が、喜び・悲しみ・怒り・驚きなど、様々な感情を持つのは自然なことです。その感情をごまかして自分の心の奥にしまいこむのではなく、観察してみましょう。人の心の動きは石を投げたときに水面に広がる波紋のように連鎖的に感情が湧いてきます。思考を活発にしたり行動をおこしたりする前に、気持ちを観察し、ただ冷静に感情を味わってみます。自分の心の声を聞くことによって、自分にも他人にも誠実に気持ちを伝えることができます。


2.言葉・態度・思いを一致させましょう。
  
声の調子や言い方、顔の表情は言葉以上のメッセージがあります。言葉ではOKと言っても心や態度がそうでなかったら、二つの相反するメッセージが送られることになってしまいます。自分の気持ちを誤解のないように伝えるには言葉・態度・思いを一致させることが大切です。また、真剣な思いを伝えるには、同じ高さの視線で真正面から落ち着いた声で話してみると効果的でしょう。


3.相手と自分が対等になるように話しましょう。 

相手を見下したり、自分を卑下したりする態度では相手に自分の本当の気持ちは伝わりません。立場や年齢、バックグラウンド、持っている価値観に関係なく、同じ一人の人間として尊重し、どんな相手でも分け隔てない姿勢でコミュニケーションをとるように心がけましょう。


 

2018年7月1日日曜日

【自分でこころの傷を手当てする】マンゴスティン倶楽部7月号



マンゴスティン倶楽部7月号に連載コラムを書かせていただいています。今月は自分でこころの傷を手当てする』がテーマです。



傷が出来たらばんそうこうを貼る、毎日歯を磨く、といった身体のメンテナンスについては、子供でも当たり前のように出来ています。しかし心の傷はどうでしょうか。実は、心のほうが身体よりも日常的にずっと傷ができやすいのです。心理セラピストのガイ・ウィンチ博士は、そんな心のメンテナンスや応急処置の重要性を説き、近年その方法が注目を集めています。

まずは、孤独、拒絶、失敗、喪失、罪悪感、反すう、自信の低下、の7つの心の傷に気づくことです。気づいた後は、積極的にケアを行うようにしましょう。

失敗や失恋の後は、ついつい自分の欠点ばかりに目をむけてしまいがち。しかし、それは傷ついた自尊心をさらに悪化させてしまいます。失敗した後は落ち込んで、無力感でいっぱいになるといった悪循環にならないように気をつけながら、自尊心を回復させること。こういう時は、長所を紙に書いていくといった、意識的に自分の好きなところに目を向けていくための行動をしていくのが良いのです。

ネガティブな思いが頭から離れないで、繰り返し再生してしまう状況は、癖になりやすく、うつを引き起こしたり、身体的な悪影響もあります。反すう思考に打ち勝つためには、とにかく2分間別のことを考えましょう。これを繰り返すことにより、少しずつ反すう思考への衝動を抑えることができるようになるのです。

自分の状況に気づき、行動を起こし、心の病気を防ぐために、強くしなやかな心を作っていきましょう。身体と同じように、積極的に心のケアを行えるような習慣がより多くの方々の生活の中で根付いていくことを願っています。


相賀ゆか(シンガポール・米国)
20年の臨床経験を持つ開業心理士。多くの日本人在住者への心理療法・カウンセリングを行う。こころの健康のためのクラスも好評。

【無意識に演じているかも?】家族の中の役割

 家族療法では、治療を受ける人やその人の心の中に問題の原因があるという考えではなく、家族という一つのまとまりをもったシステムの問題である、という見方をします。そして、家族ひとりひとりが、健全に機能していない家族を助けるために、無意識に演じているとされる役割に注目し...