2018年10月25日木曜日

あら捜しをしない



人間関係をもっとも悪くする行動の一つは、人のあら捜しです。夫婦、親子、同僚、友人関係の中で必ずと言っていいほど悪影響を及ぼすきっかけとなります。「人の良いところよりも、悪いところが気になってしまう」「人の欠点をみたらイライラする」「なんとか自分が人の欠点を直してあげたいと思う」「本人のいないところで、その人を悪くとられかねない話をする」など、無意識にあら捜しをしている人も少なくありません。そんな自分を克服して、良い人格を築いていきましょう。


あら捜しをしないようにするには、どうすればいいのでしょうか。


ある実験で、冷戦時代のアメリカの学生に、ソ連が好きかどうかを尋ねました。そしてその後、好きな学生には「社会主義に反論する論文」、好きではない学生には「社会主義を賛美する論文」を書かせたのです。すると論文を書いた後、約60%の学生が、元の考えを180度変えたそうです。自分の考えと違った行動をとると、人は自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態が起こり、これを解消するために自身の態度や行動を変える傾向があることをこの実験は示しています。


この心理を利用して、誰かに対してのネガティブな思いがある時は、逆にその人のポジティブなところを探して、紙になるべくたくさん書き出してみる方法があります。


また、他に大切なことは、その相手に対してネガティブな感情を持ったとしても、それを言葉にしない、態度に表さないことです。難しい時は、自分自身にも弱さや欠点があることを思い出してください。自分のモノサシと違う言動をする相手に接すると心が反応してしまうのは自然なことですが、そこからどう行動していくかは自分次第なのです。

2018年10月18日木曜日

ギタリストの2本の指



 
 音楽史上に名を残す偉大なジャズギタリストのジャンゴ・ラインハルト。彼は2本の指だけで指版を押さえるという独自の演奏法ですばらしい音楽を奏でます。

 小さい頃から旅芸人の子どもとして音楽で生計をたてていた彼は、18歳のとき、住んでいたキャラバンが火事になり、左手と左半身に大やけどを負ってしまいました。18ヶ月もの間入院生活を送りましたが、彼の左手の小指と薬指は動くことはなく、医者にもギターを弾くのは無理だろうといわれてしまいました。音楽がすべてだった彼にとって、これほどショックなことはありません。しかし、彼はそこであきらめませんでした。使える指が2本しか動かないというギタリストにとって致命的な状況で、普通のギターコードを演奏することはできなくなってしまいましたが、そんな制約を逆手に取り、メロディーを奏でるように弾くという独自の方法を開発しました。それは、楽譜が読めず、コードの名前すら知らない彼ならではの自由な発想でした。もう演奏は無理だと決め付けたりせずに、想像を超える努力と情熱でその逆境を克服し、超絶のスタイルを生み出したのです。そして、多くのミュージシャンたちからも尊敬され、今もなお多大な影響を与えるような伝説のジャズギタリストとなったのです。

 失ったものに嘆き悲しみ続けて、やりたいことをあきらめてしまうのではなく、残されたもの、まだ動くことの出来る指を最大限に活かし、工夫を重ね、情熱を持って取り組むジャンゴの生き方は、私たちにも励ましを与えてくれます。今、自分の手にあるものに感謝と喜びを感じ、出来ることを探り、無限の可能性を見いだしていく、そういう生き方がしたいものです。


2018年10月11日木曜日

時事通信社さんで連載コラム「サヤンサヤン通信」



 こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。シンガポールで開業してから半年、ありがたいことに順調にお仕事させていただいています。



 先月から、カウンセリング業以外で新たに時事通信社さんの時事速報でメンタルヘルスに関する連載コラム「サヤンサヤン通信」を始めさせていただきました。




 サヤンサヤンというのは、日本人には聞き慣れませんが、シンガポールでよく使われている言葉で、マレー語で「いい子いい子」「よしよし」のように子供をあやすときに用いられます。あるマレー系シンガポール人の女性が、東日本大震災の被災地を訪問した際に、現地の人に何が出来るかを一生懸命考え、思いついたのが、このサヤンサヤンという言葉を伝えることだったということを友人から聞き、あたたかい気持ちになったことがこのタイトルにしたきっかけです。



 時事速報さんは、毎日各国のたくさんの情報をわかりやすく届けてくださる素晴らしいメディアです。私のコラムは毎月第二火曜日に連載中です。もしよかったらご購読してみてくださいね。
 


2018年10月4日木曜日

【どんなときにも人生には意味がある】人生にYESと言う




こんにちは。心理カウンセラーの相賀ゆかです。

 オーストリアの精神科医・心理学者であるフランクルはナチスの強制収容所で人々の想像を絶するような過酷な体験をしました。それを綴った名著『夜と霧』では、人間にとって限界状況の中にあってもなお人としての尊厳を失わず、生きる希望を捨てない彼の姿が映し出されていました。何が彼をそのようにさせたのでしょうか。


 人は、人生のあらゆる状況にどんな意味があるのかが分かっていたら、たとえそれが苦しい状況の中でも耐えていくことが出来るといいます。逆に、生きる意味を見出すことが出来なければ恵まれた環境の中にいても人生を投げ出してしまうこともあります。
 

 ただ人生の意味はこちらから見つけたり求めたりしようとすると、時に「私なんて生きる意味がないんじゃないか」「僕はいなくても同じなんじゃないか」という考えを生み出してしまいます。フランクルは、そうではなく私達はむしろ人生から問い求められていて、答えていくんだ、という発想の転換を提唱しています。 


 どんな時にも人生には意味がある、とフランクルは言います。『この人生のどこかにあなたを必要とする「何か」や「誰か」がいて、その「何か」や「誰か」はあなたに発見されるのを待っている。だからたとえ今がどんなに苦しくとも、あなたは全てを投げ出す必要はない。いつの日か人生にYESという事の出来る日が必ずやってくるから』と。 


 先日ある学会でフランクルのお孫さんのお話を聴く機会がありましたが、フランクルが憎しみや恨みではなく、どれほど精神の気高さをもった人だったかを熱く語っている姿をみて感動を覚えました。人はどんな苦境に陥っても内面的に前進していくことが出来るという事をフランクル自らが証人として周りや後世に残していたからです。


 私達はただ「生きている」のではなく、能動的に「生きていく」時に、人生にYESと言えるのかもしれません。人生は今あなたに何をすることを求めているでしょうか。


【無意識に演じているかも?】家族の中の役割

 家族療法では、治療を受ける人やその人の心の中に問題の原因があるという考えではなく、家族という一つのまとまりをもったシステムの問題である、という見方をします。そして、家族ひとりひとりが、健全に機能していない家族を助けるために、無意識に演じているとされる役割に注目し...