2018年11月29日木曜日

自分史を振り返ろう




 加藤久仁生監督の「つみきのいえ」という素晴らしい短編アニメ映画があります。


 一人の老人が、海面が上昇していく町で、つみきのいえを少しずつ積み上げながら長年住んでいました。あるきっかけから海の中へ潜っていくうちに、昔の部屋や品々に触れ、家族との色々な思い出がよみがえってくるというストーリーです。


 監督はこの映画を通して、人々が人生の中で大切にしているものや過ぎ去ってしまったものに対して、どのような姿勢をとるのかを考えるきっかけになる作品にしたかったそうです。

 
 押入れを整理したり実家に帰ったりした時などに、ふと見つけた昔の写真や作文などを手にして、「こんなことを考えていたんだな」「あんなことがあったな」「こんな友達がいたな」と自分の人生の一部を振り返ることがあります。それをきっかけに熱中していたことを再び始めてみたり、疎遠になっていた友人に連絡をしてみたり、昔の自分から励まされたりすることもあるでしょう。


 あなたにとって、今までの人生で大切にしているものは何ですか。あなたの人生の物語はどんなものでしょうか。忙しい毎日の中で、人生を振り返るという偶然の機会は簡単にやってくるものではありません。少しゆっくりと自分探しの時間を作りませんか。


 カウンセリングでは、その時間の多くを自分の人生に向き合う作業に費やしますが、そのツールの一つとして自分史の年表を作ってもらうことがあります。これは一人でも出来る作業です。


生まれてから現在までの自分の印象に残る出来事を年齢や西暦順に書いていきます。その横にそれぞれの事柄において、自分の成長、家族との関係、キャリア・学校、大切な人との出会いなどをカテゴリー別に表にして、心の状態を数字にした幸せ度(百点満点)をグラフにするのもいいかもしれません。自分にとって好ましくない出来事より、好ましい出来事に重点をおくことによって、今まで頭の中でイメージしていたものとは違う、新たな自分史が出来上がることもあります。


 これまでの人生を振り返ることによって、忘れていた自分自身や大切にしていたものの再発見をしたり、今まで気づいていなかった行動や人間関係のパターンを見つけることもあります。今までの人生がいかに今の自分につながっているかをじっくり味わってみましょう。

2018年11月8日木曜日

当たり前、は、当たり前ではない


 朝、携帯電話のアラームで目覚め、蛇口をひねって水を出して顔を洗い、コーヒーメーカーで出来立てのコーヒーを作る――何気なく行っている日常の風景ですが、私たちは起きてから寝るまで、どれほど先人の知恵や科学技術からの恩恵を受けていることでしょう。


 毎日の生活の中で、当たり前、のようで、実は当たり前ではないことは数限りなくあります。この世に誕生してから、誰かが、私たちに食べ物や住まいや衣服を与え、話しかけ、笑顔をくれてきたのです。私たちは常に誰かに、何かに頼って生きています。


 この世界は常に変化をしています。時と共に目まぐるしく変わっていくものもあれば、昔から変わらないように思えることもあります。


 しかし、卒業、旅行、一人暮らし、引っ越し、災害などを経験しはじめて、当たり前だとおもっていたことが本当はそうではなかったと気づくことがあります。


 当然のようにやってもらっていた日常や当たり前だと思っていた環境を、今もう一度振り返ってみませんか。


 もうすぐ感謝祭です。アメリカに移住したピルグリムたちが、初めての収穫を神に感謝し、知恵を授けてくれた先住民たちを招待して祝宴を開いたことから由来していますが、アメリカでは感謝祭の食事を始める前に、感謝することを順番に話すのが習慣になっています。


 普段は当たり前と思っている食事や、一緒に集まることのできる家族や友人たち、この1年の生活などを振り返って感謝をします。


 この機会に日常の当たり前と思っていたことを見直してみましょう。私たちを助けてくれているモノや周りの人へ感謝の気持ちで接して表現すると、優しい気持ちが広がっていきませんか。
  



2018年11月1日木曜日

ある漁村での会話




 ある漁村で、旅行中の投資家が現地の一人の漁師と話を交わします。


「家族を養えるくらいだけ少し漁をすると、あとは子供たちと遊び、奥さんと昼寝をして、目が覚めると夕方には仲間とワインを飲みながらギターをかき鳴らすんだ。」


という漁師に対し、投資家は「私はハーバードのMBAを持っているから力になれるよ。」と助言をはじめます。


「もっと多くの時間を釣りに費やし、その収益でより大きなボートを買い、その収入で更にたくさんのボートを買い、その次はいくつかの漁船を抱え・・・直接水揚げを水産物加工業者に卸すことや、自分で缶詰工場をはじめることも出来る。小さな漁村を離れて、もっと都会へ、更にはLAへ行って、最終的にはより企業を大 きくするためにニューヨークに引っ越すんだ。20年、いや25年でそこまでいくよ。」


「その後は?」と聞く漁師に対し、


投資家は「今度は株を売却して大金持ちになるんだ。」と答え、


「さらにその後は?」と聞かれてこう続けます。


「そうしたら一線から引退し、海岸のそばにある小さな漁村にでも引き込んで、適当に魚を釣って、子どもたちと遊び、奥さんと一緒に昼寝をして、目が覚めたら村にくりだして、ワインをすすり、仲間たちとギターをかき鳴らすのさ。」




 このたとえ話は、人それぞれ思うことや気付くことが違うかもしれませんが、私達に人生を豊かに生きるヒントを与えてくれます。


もうすでにかけがえのないものを手に入れていたり、今すぐに理想の生活を送ったりすることが出来るのに、それに気付かずに過ごしていないでしょうか。


世間の価値観に惑わされず、自分の人生のゴールは何なのかを見極めて、今を大切に生きていきたいものです。

【無意識に演じているかも?】家族の中の役割

 家族療法では、治療を受ける人やその人の心の中に問題の原因があるという考えではなく、家族という一つのまとまりをもったシステムの問題である、という見方をします。そして、家族ひとりひとりが、健全に機能していない家族を助けるために、無意識に演じているとされる役割に注目し...