【無意識に演じているかも?】家族の中の役割
家族療法では、治療を受ける人やその人の心の中に問題の原因があるという考えではなく、家族という一つのまとまりをもったシステムの問題である、という見方をします。そして、家族ひとりひとりが、健全に機能していない家族を助けるために、無意識に演じているとされる役割に注目します。今回は、そんな役割の代表的なものをご紹介しましょう。
ヒーロー 自分が成功したり、世間に評価されるような子供になって、家族の中のヒーローやヒロインであることにより、家族を盛り上げようとします。たとえ、不健全な状態の家族でも、家族がその子に注目することによって、一時的に悪い状態がおさまることもあります。他人の責任まで背負ってしまう「良い子」であろうとします。
マスコット 家族内での緊張をほぐそうとして、おどけたり、面白いことを言ったりします。可愛がられることで、周りの注目を集めながら、家族を楽しませようとします。雰囲気をよくしようとするために、本当は気分が落ち込んでいたとしても、明るくふるまってしまうことがあります。
スケープゴート 自分が家族の問題を一気に引き受けて、社会に背を向けた生き方をします。自らが問題児となることによって、他の家族の人々がそれぞれ自分の問題から目をそらすことを助け、家族全体の本当の意味での崩壊を防ごうとするのです。
ロストチャイルド 目立たないように静かにしていて、家族とは少し距離をつくります。自分には関心がなく、自己主張もしません。家族がみんなで盛り上がっているときにも参加せずにいなくなってしまったり、いないということさえ気付かれなかったりする場合もあります。
プラケーター 慰め役で、家族の中で落ち込んでいる人に優しい言葉をかけたり、話を聞いたりします。小さい子供が、いつも親の話をきいて慰めてあげたりするような役回りをしていることもあります。
家族のために、このような役割を演じていることによって、生きにくさを感じたり、心が疲れることがありませんか。そんな役割を捨てて、違うふるまいをする選択もあるのです。また、家族の一人でも、その役割を変えていけば、家族全体の役割や関係を変えることも可能なのです。一人一人が無理をしないで、本来の自分らしく生きていくために、そんな役割を降りることも必要かもしれません。