【ゲームがやめられない】デジタルデトックスのすすめ

シンガポール公認心理カウンセラー 相賀ゆか のコラム

『サヤンサヤン通信(時事速報 時事通信社 2021年9月)』より


長く臨床に携わっていて

最近特に増えてきたと感じるのは

ゲーム・スマホ依存のお悩み。


2021年上半期のベストセラーが

アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』であるように

多くの人がこの問題を感じているのではないだろうか。


SNSをみて

落ち込む

不安になる

怒りが出る など

感情面をかき乱されるといった声だけでなく

「子供がゲーム・スマホがやめられなくて

どうしたらいいか」

といった質問も頻繁に受ける。

 

実はその質問の答えはいたって簡単。

幼い頃からデジタル時間を持たないのを

基本にする

ということだ。

持たないというのは極端なようだが

案外可能なのだ。


必要に応じて渡したり

友達の家のみにする などという形だと問題が起きにくい。

一回与えてしまって

使うのが当たり前になってからコントロールしようと思っても

目の前のケーキを食べちゃいけません

と言っているようなもの。


毎日口うるさく言わなければいけない日々が始まってしまう。

良い親子関係を築くためにも

これから親になる人におすすめである。

 

前述の書籍の帯には

「スティーブ・ジョブズはわが子になぜIPADを触らせなかったのか」とあるが、

ジョブズに限らず

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツや

アップル社のCEOティム・クックなど、

同じような態度を表している人は多い。


アップル本社そばの公立小・中学校でスクールカウンセラーとして働き

シリコンバレーで子育てをしていた経験者として感じるのは

ハイテク企業で働く親たちの中で圧倒的に支持されているのは

逆に「ローテク子育て」なのである。

 

確かにスマホはたくさんの利点もあるし

ゲームは上手に使えば

空間認識能力を養ったり

作業記憶や集中力が高まる ともいわれている。


しかし、子どもが欲望に赴くままに

スクリーンタイムを制限なく使わせていると

常にドーパミン過剰となり

情緒の安定や記憶の学習のために不可欠な

睡眠時間や食欲・集中力が減る。


複数の大規模な研究によると

ストレス・不安とスマホの使用過多にも相関性も見られるそうだ。

しかし

「今ゲームしすぎたら、明日提出の宿題が出来なくなってしまう」

というように、

衝動をストップしようとすることが出来る前頭葉は、

成熟するのが他の脳の部位より遅く

2530歳になるまで完全には発達しない。


よって子供に任せてやめさせるのは至難の業なのだ。  

 

デジタル機器を制限する時間を持つ

「デジタルデトックス」

によって、

気分の落ち込みや孤独を感じなくなる人が増え、

人生に満足を感じ

ストレスが減り

自分の周りの人たちと顔を合わせる時間が増える 

という。


デジタルライフの最大の影響は時間を奪うこと

デジタルライフのメリットも楽しみながら

悪い影響を受けないようにするには

自分にとって

最適のタイミングと時間をしっかりコントロールできているか

にかかっている。


最後に、ハンセンのアドバイスの中で特に役立ちそうなものを

いくつか紹介したい。

 

・自分のデジタル利用時間を知ること。


・スマホをオフにしたり

メッセージを返信をしたりする時間帯を決め

周りの人に分かってもらっておく。


・スマホの表示をモノクロにする。

(ドーパミンの放出量が少なくなり、依存しにくくなるそうです)


・前頭葉が大人になるまで発達しきれていない子供のうちは、

自分で制限するのが難しい。


親がモデルとなり

スクリーンタイムを決め

子どもにも制限しましょう。

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